To elucidate the pathogenic mechanisms of autism spectrum disorder (ASD) and schizophrenia (SCZ) and to identify diagnostic and therapeutic markers for these diseases, we are conducting genomic and omics analyses. We perform whole-genome sequencing analysis of samples from one of the largest ASD/SCZ cohorts in Japan collected by our collaborators. Furthermore, we aim to contribute to personalized medicine for psychiatric disorders using iPS cells and mouse models for functional analysis and spatial transcript analysis.
精神疾患の診断は患者の自他覚的な精神症状に依拠し病態に基づいていません。その結果、(1)同じ診断名の患者群に多様な病態が含まれること、(2)一つの病態が異なる診断名にまたがることが想定され、病態に基づく診断法や治療薬の開発への糸口を出すのが困難です。自閉スペクトラム症(ASD)と統合失調症 (SCZ)は、ともに有病率が約1%で、遺伝率80-90%と遺伝要因の寄与が高い病気です。診断の遅れによる予後の悪化に加え、ASD/SCZともに現状の治療法では十分な効果が得られない患者も多いため、ゲノム解析により分子病態を解明し、病態に基づく診断法・治療薬を開発することが強く求められています。
私たちは名古屋大学、東京都医学総合研究所、国立精神・神経研究センターが収集してきた国内最大規模のASD/SCZ家系サンプルを対象に、全ゲノムシークエンス(WGS)解析を実施し、既存の疾患・健常者ゲノムデータも利用して、効果サイズの大きいリスクバリアントを同定しています。ロングリードWGSも併用して、従来、同定困難であった構造バリアント(Structural Variant: SV)も解析しています。さらに、患者iPS細胞及びモデルマウスを用いたリスクバリアントの機能解析から、分子病態や創薬標的を明らかにし、精神疾患の個別化医療の実現を目指しています。